ポップを標榜した秦基博の音楽

秦基博のライブに行った。
今回は1月末に発売された4thアルバム、signed popを基調にしたライブ。


今回のアルバムで特徴的なのは、プロデューサー陣が多彩だということ。
音楽性の幅が前作よりぐっと広がっている。


pop、秦本人は、それを普遍性と語る。
口を憚ることなくいえば、映画だのCM だの、作品の日常性がなりをひそめ、商業主義の影響が見え隠れする作品群のことと言えなくもない。
こうした作品群もいやらしさがなく、素直でストレートな歌詞を載せられるのは、彼一流と言える。


そんななかではあるのだが、アルバムのなかで僕が出色だと思うのが、自画像。
ライブではひとなつの経験とひとつの流れで演奏された。


どちらもファンキーなグルーヴが身上。
かたやさわやか、かたや気だるく退廃的なコントラストに僕はやられた。
自画像には、日常性やリアリティーが僕には感じられるから尚更だ。
それはどす黒く、とぐろを巻く、愛への懐疑であるのだが、秦と久保田光太郎のギターの旋律、リズム隊のファンキーなグルーヴが渾然一体となったとき、どす黒い混沌がある種のカタルシスになるのを感じた。


そうした音楽体験ができたことが、僕にとっては何よりの収穫だったようにおもう。