H国原の道は、Hトラーに通ず?〜アラビアのロレンスに学ぶ

東国原知事「首相になったら橋下知事に大臣を」
2009.7.4 08:01

 大阪府橋下徹知事(40)は3日夜、大阪市内で宮崎県の東国原英夫知事(51)と約1時間半にわたって会談した。その後、2人はそろって大阪府庁で会見。地方分権改革の推進が必要との認識で一致したことを明かしたが、酒の酔いも手伝ってか、東国原知事は「(総理になったら)外交や防衛でお手伝いを」と、早くも橋下知事に閣僚ポストの“ラブコール”を送っていた。
http://sankei.jp.msn.com/topics/politics/4902/plt4902-t.htm

タレント風情の「新人ワガママちゃん」に振り回される自民党のみなさんに、ハゲましの記事を贈ります。

http://diamond.jp/series/wagamama/10003/の換骨奪胎
 もし、「新人知事は少なくとも1期は、当初の県で経験を積む」という原則がある自民党で、当選1期目のワガママちゃん知事が、半期くらい経って、「このポストはそもそも希望のポストではありませんでした。このポストで長く働くつもりはありません。1日でも早く自民党総裁に異動させてください」と直訴してきたとしたら、自民党幹部のみなさんはどう対処しますか?

http://diamond.jp/series/masugi/bn.htmlの特集もいいかも。
でも、営業手腕のアピールだけで在任中のマニュフェストの達成度には言及しない「新人ワガママちゃん」知事のルール無視は、会社組織でなく、一国の政治の話。
しかも、マスコミ(←たまたま見てた7/3の太田総理)が出したところの総理にふさわしい人アンケートでは、この知事が第1位なんて結果に。

ポピュリズム」を煽る風潮って、なんか危なっかしいように感じませんか?
一歩踏み外すと、独裁にたどりついてしまうような…
独裁の道程については、オーウェル動物農場がシニカル且つ的確に、そして象徴的に描いていますが、この場合は、スターリンのような共産主義国家から生まれるであろう独裁者がモデルなので、ヒトラー台頭についてちょっとだけまとめてみたいと思います*1


+時代背景+


+支持層+

  • 資本制社会の変革および企業私営の原則維持とマルクス主義攻撃により、中産階級の支持獲得
  • ナチスの強硬外交論と結びつけて、徹底的な農業保護を主張し、農民の支持獲得
  • 民族的屈辱感に動かされた青年労働者層の支持獲得
  • 企業私営維持を表明したことへの妥協、強硬外交による資本主義の回復、共産主義の脅威からの保身からくるブルジョワ層の支持獲得


格差社会が拡がりを見せているほか、敗戦を引きずるメンタリティなど、現代日本にも通じるような...
これにポピュリストの巧みな弁舌が加わったとしたら...
[rakuten:softya:10003942:title]
動物農場 (角川文庫)
概説現代史 (創元選書 (284))


それはともかく、独裁の破綻は、歴史が証明済み。
破綻の原因は、独裁者の能力には限りがあること、つまり、揉まれずに通ってしまう意見に基づかざるを得ない問題解決力の弱さにあるように思われます。
それに、一人の政治家が掲げる理念を無理に押し通そうとすれば、戦争やら粛清やらが生じることについては、ケースは違いますが、アラビアのロレンスの台詞が示唆に富んでいます。

「若者の美徳は戦争である。老人の悪徳は政治である」

ここでおもしろいのは、政治を「老人の悪徳」と表現していること。
青硬な理念の対極にある妥協にこそ、政治の本質があるということ。


つまり、政治家に求められる一番の資質は、調整力だと言えないでしょうか。


だから、良い考えを持っていたように見うけられた麻生さんは、根回し下手=調整力不足だったからこそ、失望しているということに、今こそ学ぶべきだと思います。
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*1:参考文献:今津晃『創元選書 改訂増補 概説現代史』東京創元社 平成4年