口蹄疫予防の現場〜民主対自民の構図にかき消される生の声

悲しい、悲しい、悲しい。。。
こんなにも拡がってしまうなんて。
今日現在、約8万2000頭の牛・豚の殺処分が決まっている。


口蹄疫の基本的なまとめについては、↓を参照。

宮崎の「口蹄疫(こうていえき)」がどのような影響を与えているのかまとめ - GIGAZINE
口蹄疫は人間には感染しない+感染した牛や豚を人間が食べても影響はないのですが、牛・豚・羊・山羊・鹿には感染し、口の中に水ぶくれができて餌が食べられない、水ぶくれの痛みで脚が不自由になるなどして衰弱していき、死に至るという病気です。感染すると餌を食べなくなるので肉質や乳の出が悪くなり、家畜としての金銭的価値が激減します。結果、エサをやり続けて育てても高い値段で売れないどころか赤字になってしまうわけです。さらに感染力が非常に強く、空気感染してしまい、ほかの自分のところで育てている家畜だけでなく、ほかの畜産農家の家畜にも次々と感染していくため、畜産農家にとってはまさに死活問題であり、放っておくと当然ながら肉・乳関連の食品にも影響が出ることになります。

韓国・中国での対応もまとめてあった↓

そもそも口蹄疫が確認された場合、通常はどういう対応を行うのか、まず韓国で政府がどのような対応をしたのかを見てみましょう。2010年4月12日の話です。
APRIL 12, 2010 03:01
口蹄疫で史上初の警戒警報、阻止に赤信号
政府は10日、緊急家畜防疫協議会を開き、発生地域から500メートル以内で行なっていた予防的殺処分を、発生地域から半径3キロに拡大する方針を決めた。予防的殺処分を半径3キロにまで拡大したのも初めて。
家畜疾病に関する危機警報は「関心―注意―警戒―深刻」の4段階になっており、08年過去最悪の鳥インフルエンザ(AI)に見舞われた時に警戒警報を発令したことがある。
これだけの規模の対応を一気に行った理由は伝染力の高さ。
豚は牛に比べ口蹄疫ウィルスの伝染力が3000倍以上高い。


そのため、中国の政府の対応の早さは異例のものとなっており、以下のような対応を行っています。
APRIL 12, 2010 03:01
8年ぶりに豚口蹄疫、江華で食い止めろ
政府はひとまず、江華島の外に口蹄疫のウイルスが広がるのを食い止めるのに全力を傾けている。 江華島と陸地とを繋ぐ2つの橋では、厳しく消毒を行う一方、ほかの地域の人々の江華島への訪問の自制を要請している。畜産機関や山岳、釣り、観光関連団体による「江華島への旅行を当分、謹んでほしい」という公文を送る一方、各テレビ局にも同様の字幕を画面を流すよう要請した。

韓国で予防的殺処分がなされたほか、中国では人の動きをシャットダウンするなど、徹底的な封鎖策が講じられ、最小限度に食い止めてきた。
そのため、今回発生した宮崎でも同様の措置が取られているが、実際はどうかといえば、

現場 | 東国原英夫オフィシャルブログ「そのまんま日記」by Ameba
 「人員配置や消毒剤・薬剤配布等が今一つ能率的ではない・・・・」「家畜防疫員や専門家、注射器や薬剤の数が足りない・・・・・」「必ずしも人員を増やせばいいというのでもない・・・・・」「ここの指揮・責任者は一体だれだ?・・・・・」「埋設場所の選定が遅い・・・・」「疑似患畜確認から殺処分までの行程に時間が掛かり過ぎる・・・・・・」「家畜の評価はちゃんとやっているのか?・・・・・」「生産者の当面の生活支援とメンタルケアーが必要だ・・・・・」「とにかく、感染をストップさせてくれ・・・・・・」「こんなことになったのは、一体誰のせいなのか?・・・・・」
 焦燥・疲労・不信・不安の中で、様々な意見・怒号が寄せられる。
 前例の無い規模の家畜大惨事なので、対応は大変であろう。最早、そこにはマニュアルは無いに等しい。指揮命令系統や人員配置、仕事の役割分担や伝達等、必ずしも機能的・効果的・能率的ではなかったりすることもあるだろう。
 現場は機動的かつ臨機応変に、そして秩序と冷静を保って果断かつ迅速に動かなければならない。
 とにかく、今は、各関係者が全力で意思疎通を図り、組織力や情報伝達力を強化し、家伝法に基づく防疫指針に沿って、とにかく感染拡大を食い止めるために全力を挙げなければならない。

東国原知事のブログからも、24時間体制で、必死にやっていることが伝えられている。
にもかかわらず、感染拡大は止まらない。


感染ルートを特定することは容易ではない。
例えば、運送業者のなかに約束の時間をどうしても守るために、警察や警備会社の制止を振り切って、消毒の網をすり抜けた車両があったかも知れない。
その車両を特定したところで、この車両が媒介したとは100%言い切れない。


でも拡大のリスクを減らすために、やれるかぎりのことをやらなければ、拡大は止まらない。
そのなかでの、農相の一連の発言は、がっかりを通り越して、もはや絶望させられる。
http://hamusoku.com/archives/3165746.html


隣県でも宮崎同様、ウイルスが入ってこないよう、24時間体制で消毒が行われている。
また、13日参院農林水産委員会でも「予防的に殺処分した方がいいと農家自らが望んでいる」と自民議員が政治主導で超法規的な措置を求めたのを、農相が「家畜伝染病予防法では、他人の所有財産である家畜を殺すことはできない」と拒否したことが報じられており、鹿児島県の伊藤知事も14日定例会見でかかる処分の必要性を示唆していることが報じられている(5月15日付『南日本新聞』)。


とにもかくにも、民主対自民の構図のなかで、現場や現場の長たる首長の声でさえ、全く届いていない現状にある。
このような体たらくでは、韓国や中国と比して、圧倒的に防疫体制が不十分極まりないことを露呈してしまい、国際的にも売り出そうとしている日本の畜産の信用をおとしめかねない。
農相の地元だと思って、農相にふさわしい対応を行い、一日も早く事態を沈静に至らしめることを切望する。