あかるいだけじゃ嘘っぽい〜ウェールズの歌姫Jemの「Down to earth」にひっかかった

真正面にリスナーに向き合い、はっきりした発音で、しっかりとした生音を届ける松千の音楽に心は震える。
だがしかし、はっきりしないからこそ、ひっかかる(かといって洗練された)音がある。
それは、UKはウェールズ出身の歌姫JEM「Down to Earth」のそれだ。


Jemの声は、ウィスパー系で優しい。
それに、いろんな音楽が溶け込んでおり、それが違和感ないところが異彩を放ち、味わい深いのだ。
かたはらいたい寸評を入れてみたい。


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M1 Down to Earth - ボフボフくる低音がくるファンキーな感じなんだけど、半音の使い方アラビアンで絶妙
M2 Crazy - ファンキー。途中ではいるオルガンの音がサイケな感じで好き
M3 I want you to - 南米!
M4 It's Amazing - 美音系。ピアノの使い方がいい。Sex and the cityにも使われたとか。メロディラインが頭から離れない
M5 Keep On Walking - 中盤から後半にかけてはいるギターがかっこいい
M6 You will make it feat. Vusi Mahlasela - 美音系。サビのmake itの高音で張らない優しい感じの発声が好き
M7 I always knew - 間奏のリフが好き
M8 Got it good - Doragon AshのGrateful Daysをサビに持ってきてます
M9 Aciiid! - クラブサウンド、ヘンテコな日本語
M10 How would you like it - ギターサウンド。疾走感が好き
M11 And So I Pray - 締めへのつなぎで、M10の疾走感をうまく落ち着かせてくれる
M12 On Top Of The World - 美音系。浮遊感があるんだけど、何だか締めにお茶漬けを食べてるような落ち着く感じ。


なかでも、M9 Aciiid!の日本語は、気になって仕方ない。
あえて歌詞カードを見ずに、僕にはこんな感じに聞こえた。

左にジャンプ右にジャンプ
ウェストを持って?、お尻を振って、ドラムとって、図に乗って
※□△●だけ聴いて、ダンス魔?ばりのステップ踏んで
浴衣かわいい超イケてる今夜は全部君のもの
(締めのリフレイン)
超いけてる 超楽しい
※ネタバレ反転
左にジャンプ右にジャンプ、
上下まわっておしりを振って、ドラムとベースにのって、みんなのりのり
トプシコリィになりきって、ダンスの女神のステップで、
優雅でかわいい超いけてる、今夜は全部君のもの

改めて思うが、聞き取ろうとあーでもこーでもないと、何度も聞いてみるのも一興である。


遊びがあってそこもいいのだが、やはりメロディがよい。
柴田淳と同じくらい、半音を多用しているから、どこか憂いを含んでいる。
ノリノリなクラブのダンサブルなサウンド一辺倒とは、ひと味もふた味も違う。


ゲゲゲの女房で、水木しげるの貧乏時代のファンの設定で登場した太一くんの台詞が僕の言いたいことを代弁してくれる。

あかるいだけじゃ嘘っぽい

憂いがあるものって、決して軽薄でなく、ずっしりと質量をもって迫ってくる。
人によっては重いかもしれないが、僕らは摩擦なく生きていけない。
摩擦があるから、立ち止まってそこで思いをめぐらしたりする。
そんな無駄とも思えるプロセスをふむなかから憂いは生まれるからこそ、リアルなのである。


憂いがあるから引っかかりがあって、Jemの紡いだメロディは、僕の心を捕らえて離さない。
要はいいたいことはこういうこと。

めんどくさいのと好きはイコールです
by うぬぼれ刑事(第7回マラカスの詩)